定年後再雇用(その2)何歳まで働く? 

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 今回は、退職後の継続雇用に対する問題の第2回目を取り上げたいと思います。第1回目では、2018年3月31日(土)の朝日新聞朝刊の記事をきっかけとして今回のテーマを取り上げ、高年齢者雇用安定法の概要、特に法第9条の継続雇用制度の問題について、モデル裁判例である津田電気計器事件を参考に継続雇用に係る基準を満たしている労働者に対する再雇用拒否の違法性について、高裁の解雇権濫用法理の考え、最高裁の合理的期待に対する考えについて簡単に説明させていただきました。

法は、企業の実情に応じた柔軟な措置を想定しながらも、高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることのできる環境を整備するという高年齢者雇用安定法の趣旨に鑑みれば、継続雇用に係る基準を満たしているにもかかわらず再雇用しないためには、客観的合理的理由を欠き社会通念上相当と認めらる必要があるとしました。

今回は、前回の記事で問題提起させていただいたもう一つの違法性の問題、企業側が新たに提示した雇用条件に、再雇用希望者が同意を拒み、結果として再雇用を拒否する結果となった場合の違法性の問題について考えてみたいと思います。

厚生労働省平成24年改正の際に出された、Q&Aは、その問題について次のような参考となる考えが示されています。

Q1-9: 本人と事業主の間で賃金と労働時間の条件が合意できず、継続雇用を拒否した場合も違反になるのですか。

A1-9: 高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではありません。

 今回、企業側が新たに提示した雇用条件に、再雇用希望者が同意を拒み、結果として再雇用を拒否する結果となった場合の違法性の問題を取り上げようと思ったのは、新聞記事の事件の内容が、そのような問題に絡んだ事件であり、今後の企業実務にも影響することが予想されるとされていたからです。

新聞が伝える問題となる内容部分は次の通りです。

判決によると、原告は食品の加工・販売を手掛ける会社(北九州市)に2015年まで40年余り正社員として勤めた。60歳の定年時は経理を担当し、月給は約33万円だった。同社は、再雇用後は時給制のパート勤務とし、月給換算で定年前の25%相当まで給与を減額する条件を示したが、原告は拒んだ。

結論は前回もお伝えした通り、原告被告側双方の上告不受理により、再雇用(継続雇用)の条件として、賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為に当たるとして会社に慰謝料100万円の支払いを命じた福岡高裁の判決が確定しています。

上述のQ&Aの考えによれば、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、法違反となるものではないということになりますので、上記事件の内容である会社が示した労働条件は事業主の合理的裁量の範囲の条件ではないと判断されたということです。

そのことについては、新聞記事が伝える判決の内容では次のように述べられています。

高裁判決は、65歳までの雇用の確保を企業に義務付けた高年齢者雇用安定法の趣旨に沿えば、定年前と再雇用後の労働条件に「不合理な相違が生じることは許されない」と指摘。同社が示した再雇用の労働条件は「生活への影響が軽視できないほどで高年法の趣旨に反し、違法」と認めた。

個人的にも、客観的に判断して退職時より75%も給与が減額となるというのは、新たな労働契約の締結に限りなく近い状態であり、継続雇用という名目すら保っていない労働条件であると思わざるを得ないですので不合理であるというのは何となく理解できます。単純に月換算で計算してよいかの問題もありますが、33万円の25%とは、いくらかと計算してみると月平均82,500円ということですから、以前からの職場で働きやすい環境というメリットを除けば、他のパートの職を探しても問題ない金額ということになります。事件の原告の女性の場合、新たに提示された職務の内容は、以前と同様経理の仕事ということですから、正社員時の仕事とは当然異なる課業ということなのでしょう。会社側としては、高年齢雇用継続給付が最大15%で約5万円支給されることになりますので、給与と併せ13万円もあれば、福岡では十分生活できると判断したのかもしれませんね。皆さん福岡は住みやすい街ですね。老後は福岡に住みましょう。

話が脱線しましたが、それでは、定年退職後の65歳までの雇用確保義務としては、勤務形態をパートタイマーとすることは事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示したことにならないのでしょうか?

前述の厚生労働省改正法Q&Aでは次のように述べています。

継続雇用後の労働条件については、高年齢者の安定した雇用を確保するという高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関し、事業主と労働者間で決めることができます
1年ごとに雇用契約を更新する形態については、高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、年齢のみを理由として65歳前に雇用を終了させるような制度は適当ではないと考えられます。したがって、その場合は、
[1]65歳を下回る上限年齢が設定されていないこと
[2]65歳までは、原則として契約が更新されること(ただし、能力など年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められます。
が必要であると考えられますが、個別の事例に応じて具体的に判断されることとなります。

 従って、新聞記事の事件の場合も正社員から定年退職後の労働条件の雇用形態をパートタイム勤務としたことだけで問題とされているわけではないということになります。であれば、当然正社員とパートタイマーとの雇用形態の区分の違いに応じて労働条件を合理的に相違させることは問題ないということでもあります。もともと、定年再雇用制度とはいっても、労使対等な立場による合意の原則という労働契約の性質から言っても、裁判所が、明文の規定がないまま、労働条件を補充することは、できる限り控えるべきであると述べており(ハマキョウレックス事件 大阪高平成28年7月26日判決)、改正法は企業の実情に応じた柔軟な措置を想定しているとされています。ですから問題となるのは、法の趣旨に反したり、他の労働関係法令や公序良俗に反するような措置ということになります。

例えば、継続雇用制度において定年前後で、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に相違がないにもかかわらず労働条件を相違させることの問題があります。

そのことに関連する問題として、最近判例が相次いでいるとされるのが、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法第20条に関する判決です。

<労働契約法>

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」とう。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 この労働契約法20条が争われた裁判例では、定年前後での労働条件の相違が同条違反に該当するかということと、法違反とされた場合の法20条の私法的効果が問題とされています。

代表的な参考判例としては、長澤運輸事件(東京高判平成 28 年 11 月2日判決)ハマキョウレックス事件(大阪高平成28年7月26日判決)があります。(但し、ハマキュウレックス事件は、定年再雇用の問題ではなく、定年後の嘱託契約社員と正社員との労働条件の相違が問題とされている事件です。)どちらも上告審の判決を待つ状態(長澤運輸事件に関しては本年6月1日判決予定。)ですが、参考までに高裁判決の内容をとりあげます。

長澤運輸事件(東京高判平成 28 年 11 月2日判決)

 【事案の概要】
本件は、控訴人を定年退職した後に期間1年の有期労働契約(本件有期労働契約)を締結して嘱託社員として再雇用された被控訴人らが、控訴人に対し、被控訴人らと無期労働契約の正社員との間の賃金格差(本件相違)が不合理であることを理由に、主位的には、本件有期労働契約による賃金の定めが労働契約法 20 条に違反し無効であると主張して、正社員用就業規則による賃金の定めが適用される労働契約上の地位確認及び差額賃金の支払を求め、予備的には、労働契約法 20 条及び公序良俗違反による不法行為に基づき、差額賃金相当額の損害賠償を求めた事案の控訴審です。 

 【争点】 については、次の4つとされていました。
(1)本件相違は労働契約法 20 条の「期間の定めがあることにより」生じたものであるといえるか。

(2)労働契約法 20 条にいう不合理性の判断基準

(3)本件相違が不合理と認められるか否か

(4)本件相違が労働契約法 20 条または公序良俗に反し違法といえるか否か 

本件の第1審判決においては、争点(1)について、被告会社における嘱託社員の労働条件が、再雇用者採用条件によるものとして運用されているという実態、正社員就業規則及び賃金規程が一律に適用されている無期契約労働者である正社員の労働条件の相違から両者間には、賃金の定めについて、その地位の区別に基づく定型的な労働条件の相違があることが認められるから本件相違が期間の定めの有無に関連して生じたことは明らかであるとしました。そして、争点(2)では、労働契約法 20 条にいう①職務の内容、②当該職務の内容及び配置の変更の範囲が同一であるにもかかわらず、賃金の額について有期契約労働者と無期契約労働者との間に相違を設けることは、その相違の程度にかかわらずこれを正当と解すべき特段の事情がない限り不合理であるとの評価を免れない。という判断基準を示しながらも、争点(3)以降については、被告会社における嘱託社員の労働条件が、再雇用者採用条件によるものとして運用されているという実態について、本件定年再雇用の措置を労働条件の不利益変更の法理に準じた手法を用いたともとれるような内容で、不合理性と違法性を判断しています。結論としては、労働条件の不利益変更法理における考慮要素を、「特段の事情」と定義して考察しているともとれるような内容ということですが、我が国の企業一般においての定年退職後の継続雇用の状況、被告会社における賃金圧縮の必要性、労働組合との協議の経緯、定年後再雇用者を定年前と全く同じ立場で同じ業務に従事させつつ、その賃金水準を新規採用の正社員よりも低く設定することについての労働者の不利益性及び正当性につき考慮したうえで、上記「特段の事情」があると認めることはできないと判事し、労働者の主位的請求を全部認容したという結果となっています。(本件有期労働契約における賃金の定めは労働契約法 20 条に違反し無効となり、正社員就業規則の解釈によって原告らには同就業規則が適用される。

それに対して、同事件の控訴審判決(東京高判平成 28 年 11 月2日)では、原審と同様に労働条件の不利益変更の法理に準じた手法を用いたとも思われるような内容で、不合理性と違法性を判断していますが、その考慮要素については、労働契約法 20 条にいう①職務の内容、②当該職務の内容及び配置の変更の範囲が同一であるにもかかわらず、賃金の額について有期契約労働者と無期契約労働者との間に相違を設けることは、その相違の程度にかかわらず、これを正当と解すべき特段の事情がない限り、不合理であるとの評価を免れないとした第1審とは異なり、争点(2)について次のように述べています。

労働契約法 20 条は、有期契約労働者と無期契約労働者の間の労働条件の相違が不合理と認められるか否かの考慮要素として、①職務の内容②当該職務の内容及び配置の変更の範囲のほか、③その他の事情を掲げており、その他の事情として考慮すべきことについて、上記①及び②を提示するほかに特段の制限を設けていないから、労働条件の相違が不合理であるか否かについては、上記①及び②に関連する諸事情を幅広く総合的に考慮して判断すべきものと解される。 

 争点(1)に関しては、控訴人が高年齢者雇用安定法が定める選択肢の1つとして被控訴人らと有期労働契約を締結したのは、賃金節約や雇用調整を弾力的に図る目的もあると認められるので、本件相違が「期間の定めの有無に関連して」生じたことは明らかであるとしました。そして契約法20条の考慮要素について、本件では被控訴人らと正社員との間で上記①②がほぼ同一でありであるその他の事情については、

 ア)控訴人が定年退職者に対する雇用確保措置として選択した継続雇用たる有期労働契約は、社会一般で広く行われている。

イ)従業員が定年退職後も引き続いて雇用されるに当たり、その賃金が引き下げられるのが通例であることは、公知の事実であるといって差し支えない。このことについては、a)高年齢者雇用安定法による高年齢者雇用確保措置の義務づけ、b)企業は定年到達者の雇用のみならず若年層を含めた労働者全体の安定的雇用実現の必要があること、c)定年到達者については、在職老齢年金制度及び高年齢雇用継続給付があること、d)定年後の継続雇用は法的には従前の雇用関係を消滅させて退職金を支給した上で新規雇用契約を締結するものであること、を考慮すると定年後継続雇用者の賃金を定年時より引き下げること自体が不合理であるとはいえない。

(略)

キ)控訴人は「定年退職者を再雇用して正社員と同じ業務に従事させる方
が、新規に正社員を雇用するよりも賃金コストを抑えることができるという意図」を有していたと認められるが、継続雇用制度導入の選択は高年齢者雇用安定法が認めており、定年前後で上記①②が変わらないまま一定程度賃金が減額されることは一般的であり社会的に容認されている。
平均2割強という減額率も不合理とはいえない。

 ク)控訴人と被控訴人加入の労働組合との間で嘱託社員の賃金水準等の労
働条件に関する一定程度の協議が行われ、控訴人が本件組合の主張や意見を聞いて一定の労働条件の改善を実施したことは考慮すべき事情である。
(4)上記(3)によれば、本件相違は、上記①②③に照らして不合理なものとはいえず、労働契約法 20 条に違反するとは認められない。
よって、控訴人らの主位的請求はいずれも理由がない。
(5)控訴人が被控訴人らと有期労働契約を締結し、定年前と同一の職務に従事させながら、賃金額を 20~24%程度切り下げたことが社会的相当性を欠くとはいえず、労働契約法または公序(民法 90 条)に反し違法であるとは認められない。

よって、被控訴人らの予備的請求はいずれも理由がない。

 以上の様に述べ、原判決を取り消し、被控訴人らの主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却しました。

 本件は労働契約法20条の違法性の判断に対する内容であり、労働契約法10条の就業規則の不利益変更についての判断(平成10年4月1日施行の改正高年法のもとで,就業規則上の定年延長についての合理性を判断した裁判例として協和出版販売事件〈東京高判 平19・10・30 労働判例963号54頁〉ではなく、本判決の内容と直接関係があるかどうかは解りませんが、55歳以降の賃金引下げを内容とす就業規則の不利益変更の違法性が争われた第四銀行事件(最高裁平成9年2月28日第二小法廷判決)みちのく銀行事件(最高裁平成12年9月7日第1小法廷判決)の判断内容を連想させられました。

この両判決においては、就業規則の不利益変更に対する合理性の判断の際の考慮要素となる労働組合と締結された労働協約の位置付けについて、相反する判断がなされました。いずれも、賃金や退職金などの重要な労働条件についての不利益変更については、高度の必要性に基づく合理性が求められるという前提条件は変わらないのですが、第四銀行事件では、行員の90%で組織する労働組合との間で締結された労働協約について、労使間の利益調整がされた結果としての合理的なものであるとして考慮要素として評価されているのに対して、みちのく銀行事件では、行員の約73%で組織する労働組合が、第1次変更、第2次変更の2回の変更に合意しているにもかかわらず、最後まで不利益変更に反対していた一部高年層の行員の被る不利益性の程度や内容を勘案すると、賃金面における変更の合理性を判断する際に労組の同意を大きな考慮要素と評価することは相当ではないとされています。

上記、長澤運輸事件の高裁判決の内容に影響があったかどうかはさておき、平均2割強という減額率不合理とはいえないという判断*1のもと、労働組合との間で嘱託社員の賃金水準等の労働条件に関する一定程度の協議が行われ、控訴人が本件組合の主張や意見を聞いて一定の労働条件の改善を実施したことは考慮すべき事情であるとされています。ですから、もし、嘱託社員の減額率が大きければ、本件のように組合との合意に至っていない協議の状況が、どのように評価されるかはわからないということも言えるかもしれません。

  但し、①第四銀行事件では、昭和58年当時は60歳定年制の実現が、いわば国家的政策課題とされ、社会的に強く要請されていたという背景も考慮されています。

高年齢者雇用安定法においても、65歳までの安定した雇用の確保という国家政策課題があり、社会的に強く要請されているということでは、同様ですが、個人的には、法自体が、企業の実情に応じた柔軟な措置を想定して、企業運営にも配慮した内容として定められていることに鑑みれば、 同様に解すべきではないと思います。*2労働協約上の「労働者の待遇に関する基準」を定めた規定が労働者に不利な規定である場合には、そのような規定にも規範的効力*3が生じるかという問題があります。

菅野和夫(著)「労働法」弟八版 法律学口座双書】によると

一般的に言えば、団体交渉は相互譲歩の取引であり、その結果、労働協約は労働者に有利な条項と不利な条項が一体として規定されることが多い(例えば休日日数を増加しつつ変形労働時間制を導入するという協定)。また、継続的な労使関係では、労使の取引は不況時の譲歩と好況時の獲得など時期を異にした協約交渉間でも生じうる。要するに、労働組合としては、組合員の利益を全体的長期的に擁護しようとして、それ自体では不利益に見える協定をも締結するのである。そのような内容の交渉をし協約を締結する権限を労働組合が有していないとすることは、労働組合の任務の著しい縮減となり、憲法28条や労組法の本旨とする労使自治の理念に照らし適切な解釈とは考えられない。従って、一般論としては、労働協約は労働者に不利な事項についても規範的効力を有するといわざるを得ない。(556頁~557頁)

労働法の文言によれば規範的効力の生ずる範囲は「労働条件その他労働者の待遇に関する基準」である(16条)。このうち「労働条件その他労働者の待遇」とは、賃金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、職場環境、災害補償、服務規律、懲戒、人事、休職、解雇、定年制、教育訓練、福利厚生など、企業における労働者の個別的または集団的な取扱いの殆ど全てを含みうる広い概念である。ただし、規範的効力は、労働契約成立後のその契約内容を規律する効力なので、「採用」についての協約規定は、規範的効力を持ちえない。(557頁)

 まったく同様のケースではありませんが、前述した、厚生労働省の改正高年法Q&Aが55歳以降の労働条件の変更を含む措置について述べた部分があるので抜粋します。

Q1-6: 例えば55歳の時点で、
[1]従前と同等の労働条件で60歳定年で退職
[2]55歳以降の雇用形態を、65歳を上限とする1年更新の有期労働契約に変更し、55歳以降の労働条件を変更した上で、最大65歳まで働き続ける。 のいずれかを労働者本人の自由意思により選択するという制度を導入した場合、継続雇用制度を導入したということでよいのでしょうか。

A1-6: 高年齢者が希望すれば、65歳まで安定した雇用が確保される仕組みであれば、継続雇用制度を導入していると解釈されるので差し支えありません。
 なお、1年ごとに雇用契約を更新する形態については、高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、65歳までは、高年齢者が希望すれば、原則として契約が更新されることが必要です。個々のケースにおいて、高年齢者雇用安定法の趣旨に合致しているか否かは、更新条件がいかなる内容であるかなど個別の事例に応じて具体的に判断されることとなります。

 今回の記事の冒頭で紹介した2018年4月10日月、労働新聞の電子版記事によれば、近年相次ぐ労働契約法第20条に関する判決で、多くのケースで基本給格差を容認する一方、諸手当では厳格な判断が下されている事を伝えています。

その考えが定年再雇用のケースにもあてはまるのであれば:表現方法が不適切と思われたので後日加筆)基本給に関しては、定年前後の雇用形態の相違やその雇用形態の相違に基づく課業の内容の相違から認められやすいということになるのかもしれませんね。しかし、こと諸手当に関しては、そのような相違(期間の定めがあることにより)に基づき差異をもけることに合理性があるかどうか(正確には不合理なものではないかどうかです)厳格に吟味されなければならないということなのでしょう。特に定年前後で、前述した契約法第20条の考慮要素①②が同一である場合は、なおさらということになると理解してよいのではないでしょうか。その諸手当ごとに踏み込んで判断した裁判例として、上記長澤運輸事件と同じ運送業の事件であるであるハマキョウレックス事件(大阪高平成28年7月26日判決)があり、正社員のドライバーの業務内容と契約社員のドライバーの業務内容は大きな相違があるとは認められないが、しかし、正社員と契約社員との間には、職務遂行能力の評価や教育訓練等を通じた人材の育成等による等級・役職への格付け等を踏まえた広域移動や人材登用の可能性といった人材活用の仕組みの有無に基づく相違が存するしたがって、「不合理と認められるもの」に当たるか否かについて判断するに当たっては、労働契約法20条所定の考慮事情を踏まえて、個々の労働条件ごとに慎重に検討しなければならないとされています。

その考えを基にするならば、長澤運輸事件に関しては、考慮要素①②が同一とされていますので、尚更個々の労働条件ごとに慎重に検討しなければならないことになるはずです。前記1審判決では、考慮要素①②が同一である以上、賃金額に差を設けることは、その相違の程度にかかわらず、これを正当と解すべき特段の事情がない限り、不合理であるとの評価を免れないと判断したのに対して、高裁判決では次のように述べました。

オ)賃金構成の各項目について不合理性を判断せよとの被控訴人らの主張については、定年前後で上記①②が変わらないまま一定程度賃金が減額されることは一般的であり社会的に容認されていることのほか控訴人が、e)正社員の「能率給」に対応する嘱託社員の「歩合給」につき上記「能率給」より支給割合を高くしていること、f)無事故手当を正社員より増額して支払ったことがあること、g)老齢厚生年金の報酬比例部分が支給されない期間について調整給を支払ったことがあることなど、正社員との賃金の差額を縮める努力をしたことに照らすと、個別の諸手当の支給の趣旨を考慮しても、不合理であるとは認められない。

 

2016.11.17 【労働新聞】電子版より抜粋

現状追認判決だ」ーー注目された長澤運輸事件の控訴審判決直後の会見で、原告が所属する全日本建設運輸連帯労働組合の小谷野毅書記長は、判決に対し怒りを込めてこう語った。「社会問題化している格差や差別の不合理性を糺すのが労働契約法20条の理念。定年後再雇用だから仕方ないというのは到底承伏できない」とも述べ、最高裁で争う考えを示した。同席した宮里邦雄代理人弁護士は、同一労働同一賃金が議論されている社会的背景を考えても妥当性を欠く判決だと語った。…

ということで、本年6月1日の契約法第20条についての初の最高裁判決に注目したいと思います。

 今まで考察してきた、裁判所の労働契約法20条に基づく判断と厚生労働省の改正Q&Aの説明に基づく限り、企業側が賃金節約や雇用調整の弾力性を図るための対策としては、定年前後での職務内容を大幅に変えることが考えられ、その職務の相違に基づく労働条件(特に賃金)について相違させることは、65歳までの安定した雇用の確保が保証されている限り問題ないような気もします。勿論、改正高年法の趣旨に反するような労働条件の相違は認められないということになるのでしょうから、問題はどこまでなら許容されるのかという問題に尽きることになると思われます。

参考となる裁判例として、トヨタ自動車事件(名古屋高裁平成28年9月28日判決)があります。

 【事件の概要】

被告会社においては,平成24年法律第78号による改正後の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の定める継続雇用制度につき,社員就業規則上の規定を受けて,25年3月31日付で労使協定が締結されており、健康基準,職務遂行能力基準,勤務態度基準からなる選定基準を満たした者には定年後再雇用者就業規則に定める職務(「スキルドパートナー」と呼ばれる)を提示し当該基準を満たさない者にはパートタイマー就業規則に定める職務を提示することとされていた。

Xは,スキルドパートナーとしての再雇用の基準に達していないことを前提として、パートタイマーの職務を提示されたが、期間にして1対5,受給額にして1対10にもなる落差があること定年後再雇用になる場合の労働条件について,主な業務内容はシュレッダー機ごみ袋交換および清掃(シュレッダー作業は除く),再生紙管理,業務用車掃除,清掃(フロアー内窓際棚,ロッカー等),であったことから、「控訴人が隅っこの掃除やってたり,壁の拭き掃除やってて,見てて嬉しいかね。…これは,追い出し部屋だね。」などと述べ、再三の被告会社からのパートタイム勤務帳票の提出の催促にもかかわらず、あくまで「スキルパートナー」としての職務を希望する旨書面を提出していたが、結局再雇用されることなく60歳に達したことにより,被控訴人会社を定年退職となったため、

①「スキルドパートナー」としての再雇用契約に基づいてXが雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認

②賃金および一時金ならびにこれらに対する遅延損害金の支払い

③Y1社の使用者としての安全配慮義務等の違反を理由として,債務不履行または不法行為に基づく損害賠償として慰謝料およびこれに対する遅延損害金の支払い

以上3つの内容とする請求を提訴。一審判決はXの請求を棄却したためXが控訴したという内容です。

その控訴審で、名古屋高裁は、改正高年法は,60歳の定年後,再雇用されない男性の一部に無年金・無収入の期間が生じるおそれがあることから,この空白期間を埋めて無年金・無収入の期間の発生を防ぐために,老齢厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢に到達した以降の者に限定して,労使協定で定める基準を用いることができるとしたものと考えられると改正法の趣旨を述べ、従って、定年後の継続雇用としてどのような労働条件を提示するかについては一定の裁量があるとしても,提示した労働条件が,無年金・無収入の期間の発生を防ぐという趣旨に照らして到底容認できないような低額の給与水準であったり,社会通念に照らし当該労働者にとって到底受け入れ難いような職務内容を提示するなど実質的に継続雇用の機会を与えたとは認められない場合においては,当該事業者の対応は改正高年法の趣旨に明らかに反するものであるといわざるを得ないとしました。

具体的には、

なお、控訴人会社は,改正高年法の定める継続雇用制度を採用するにあたり,再雇用との文言を用いているが,その運用の適否を検討するにあたっては,上記の改正高年法の趣旨に従い,あくまで継続雇用の実質を有しているか否かという観点から考察すべきものである。

(略)

上記の改正高年法の趣旨からすると,被控訴人会社は,控訴人に対し,その60歳以前の業務内容と異なった業務内容を示すことが許されることはいうまでもないが,両者が全く別個の職種に属するなど性質の異なったものである場合には,もはや継続雇用の実質を欠いており,むしろ通常解雇と新規採用の複合行為というほかないから,従前の職種全般について適格性を欠くなど通常解雇を相当とする事情がない限り,そのような業務内容を提示することは許されないと解すべきである。そして,被控訴人会社が控訴人に提示した業務内容は,上記のとおり,控訴人のそれまでの職種に属するものとは全く異なった単純労務職としてのものであり,地方公務員法がそれに従事した者の労働者関係につき一般行政職に従事する者とは全く異なった取扱いをしていることからも明らかなように,全く別個の職種に属する性質のものであると認められる。
したがって,控訴人会社の提示は控訴人がいかなる事務職の業務についてもそれに耐えられないなど通常解雇に相当するような事情が認められない限り,改正高年法の趣旨に反する違法なものといわざるを得ない。
したがって,控訴人の従前の行状に被控訴人らが指摘するような問題点があることを考慮しても,控訴人会社の提示した業務内容は,社会通念に照らし労働者にとって到底受け入れ難いようなものであり,実質的に継続雇用の機会を与えたとは認められないのであって,改正高年法の趣旨に明らかに反する違法なものであり,被控訴人会社の上記一連の対応は雇用契約上の債務不履行に当たるとともに不法行為とも評価できる。(略)

 控訴人は逸失利益の賠償を求めておらず慰謝料の支払を求めており,本件事案の内容からすると,債務不履行に基づいて慰謝料の支払を求めるのは困難であるが,不法行為に基づく慰謝料請求については,控訴人が上記賃金等の給付見込額と同額の損害賠償金を得ることができれば,その精神的苦痛も慰謝されるものと認められる。

 この控訴審の判断では、被控訴人会社はが我が国有数の巨大企業であって事務職としての業務には多種多様なものがあると考えられるにもかかわらず,従前の業務を継続することや他の事務作業等を行うことなど,清掃業務等以外に提示できる事務職としての業務があるか否かについて十分な検討を行ったとは認め難いという事情も結論に影響を与えており、これらのことからすると,控訴人に対し清掃業務等の単純労働を提示したことは,あえて屈辱感を覚えるような業務を提示して,控訴人が定年退職せざるを得ないように仕向けたものとの疑いさえ生ずるところであると評価され、結果として、原告請求の内、③の「安全配慮義務違反」という表現を「雇用契約上の債務不履行又は不法行為責任」という表現に改めたうえで、一部認容しています。

 このトヨタ自動車事件の高裁判決が出されたのが、前述した長澤運輸事件の東京地裁判決の約4か月後であったため(後日訂正箇所)、現場が混乱したといわれています。定年前後で職務内容が同一であれば、労働条件を相違させすぎても駄目、使用者が賃金節約や雇用調整の弾力性を図るために職務の内容を変更しすぎるのも駄目という様な碁石を置かれたような結論の事を言っているようです。特にハマキュウレックス事件高裁判決においては、「裁判所が、明文の規定がないまま、労働条件を補充することは、できる限り控えるべきである」と述べていたという経緯もあります。

その一方で、高年法の趣旨に反するような労働条件を定めることの可否については、従来の裁判例においても、「賃金等の労働条件については、基本的に当事者の自治に委ねる趣旨であったと認められるが具体的状況に照らして極めて苛酷なもので、労働者に同法の定める定年までの勤務する意思を削がせ、現実には多数の者が退職する等高年齢者の雇用の確保の促進という同法の目的に反するものであってはならないことも、前記雇用関係についての私法秩序に含まれるというべきである。協和出版販売事件(東京高判 平19・10・30 労働判例963号54頁)」とされていました。

 では、企業側が講じる賃金節約や雇用調整の弾力性を図るための対策が正当と認められるためにはどうしたら良いのでしょうか?トヨタ自動車事件が平成24年改正法後の事件であること、前述の長澤運輸事件、ハマキュウレックス事件の両事件が上告されており、最高裁判決の結果を待つしかない状況ですから、やはり、改正法の指針の内容にできるだけ忠実な対策を講じておくほかないと思いますので、以降関連する改正法Q&A と関連する項目の指針内容を抜粋したいと思います。

(Q&A抜粋)

Q1-7: 継続雇用制度として、再雇用する制度を導入する場合、実際に再雇用する日について、定年退職日から1日の空白があってもだめなのでしょうか。

A1-7:継続雇用制度は、定年後も引き続き雇用する制度ですが、雇用管理の事務手続上等の必要性から、定年退職日の翌日から雇用する制度となっていないことをもって、直ちに法に違反するとまではいえないと考えており、このような制度も「継続雇用制度」として取り扱うことは差し支えありません。ただし、定年後相当期間をおいて再雇用する場合には、「継続雇用制度」といえない場合もあります。

(指針抜粋)

 4 賃金・人事処遇制度の見直し
高年齢者雇用確保措置を適切かつ有効に実施し、高年齢者の意欲及び能力に応じた雇用の確保を図るために、賃金・人事処遇制度の見直しが必要な場合には、次の⒧から⑺までの事項に留意する。

⒧ 年齢的要素を重視する賃金・人事処遇制度から、能力、職務等の要素を重視する制度に向けた見直しに努めること。
この場合においては、当該制度が、その雇用する高年齢者の雇用及び生活の安定にも配慮した、計画的かつ段階的なものとなるよう努めること。

⑵ 継続雇用制度を導入する場合における継続雇用後の賃金については、継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めること。

⑶ 短時間勤務制度、隔日勤務制度など、高年齢者の希望に応じた勤務が可能となる制度の導入に努めること。

⑷ 継続雇用制度を導入する場合において、契約期間を定めるときには、高年齢者雇用確保措置が 65 歳までの雇用の確保を義務付ける制度であることに鑑み、65 歳前に契約期間が終了する契約とする場合には、65 歳までは契約更新ができる旨を周知すること
また、むやみに短い契約期間とすることがないように努めること。

職業能力を評価する仕組みの整備とその有効な活用を通じ、高年齢者の意欲及び能力に応じた適正な配置及び処遇の実現に努めること。

勤務形態や退職時期の選択を含めた人事処遇について、個々の高年齢者の意欲及び能力に応じた多様な選択が可能な制度となるよう努めること。
この場合においては、高年齢者の雇用の安定及び円滑なキャリア形成を図るとともに、企業における人事管理の効率性を確保する観点も踏まえつつ、就業生活の早い段階からの選択が可能となるよう勤務形態等の選択に関する制度の整備を行うこと。

⑺ 継続雇用制度を導入する場合において、継続雇用の希望者の割合が低い場合には、労働者のニーズや意識を分析し、制度の見直しを検討すること。

 今回は、朝日新聞の朝刊記事をきっかけに選んだテーマである高年齢者雇用安定法の2回目として、企業側が新たに提示した雇用条件に、再雇用希望者が同意を拒み、結果として再雇用を拒否する結果となった場合の違法性の問題を取り上げ、本年6月以降に最高裁の判決を控えた運送会社の2件の裁判例と平成24年改正後の裁判例を基に、平成24年改正法の厚生労働省指針とQ&A を交えながら考察してきました。

以上、今回の記事内容をまとめると、

⑴ 高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であるり、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではない。

⑵ 事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではない。

⑶ 高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば、雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関し、事業主と労働者間で継続雇用後の労働条件について決めることができる。

⑷ 期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、①労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、②当該職務の内容及び配置の変更の範囲、③その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

⑸ その他の事情として考慮すべきことについて、上記①及び②を提示するほかに特段の制限を設けていないから、労働条件の相違が不合理であるか否かについては、上記①及び②に関連する諸事情を幅広く総合的に考慮して判断すべきものと解される。

労働協約は労働者に有利な条項と不利な条項が一体として規定されることが多く一般論としては、労働協約は労働者に不利な事項についても規範的効力を有するといわざるを得ないが、賃金や退職金などの重要な労働条件についての不利益については一部労働者のみに被る不利益性の程度や内容次第では、賃金面における変更の合理性を判断する際に労組の同意を大きな考慮要素と評価することは相当ではないと判断される場合がある。(但し、労組と協約締結や協議と尽くしていることが望ましい事は言うまでもない。)

⑺ 社会通念に照らし当該労働者にとって到底受け入れ難いような職務内容を提示するなど実質的に継続雇用の機会を与えたとは認められない場合においては,当該事業者の対応は改正高年法の趣旨に明らかに反するものであるといわざるを得ない。

⑻ 改正高年法の定める継続雇用制度を採用するにあたり,再雇用との文言を用いているが,その運用の適否を検討するにあたっては,上記の改正高年法の趣旨に従い,あくまで継続雇用の実質を有しているか否かという観点から考察すべきものであると判断されている。

⑼ 使用者の提示した継続雇用後の労働条件が無効となった場合でも、法自体から直ちに従前の労働条件での雇用契約が成立したと解されないこともあるが、民事的責任(債務不履行不法行為に基づく損害賠償責任)は生じうる。

 

 今回の記事を書いていて、定年後の継続雇用に関しては本当に様々な問題をはらんでいて、正直非常に難しいなという感想を抱きました。微力ながら何かお手伝いをさせていただければ幸いに思います。事企業者様の皆様からのご相談をお待ちしております。

少々古いデータではありますが、最後に大手中堅の高齢者雇用確保措置の動きをつたえる労働新聞電子版の記事をご紹介します。今回のテーマも、長い説明となってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。

2017.06.01【労働新聞】
【今週の視点】65歳定年は一様ならず

大手・中堅で移行増 減額ゼロや役職維持も  今年4月から少なくない企業が65歳定年制へ移行した。公的年金の支給開始年齢の引上げが折り返し地点に差し掛かるなか、大手・中堅規模で様ざまな仕組みが採られている。いずれ避けられない大量退職や法定定年年齢の引上げを思えば、企業としては外堀が埋まる前に手を付け、ソフトランディングを図りい。……

 

 【参考文献・資料】

 (文献)

・【菅野和夫(著)「労働法」弟八版 法律学口座双書】

 (裁判例

 ・2018年3月31日(土)朝日新聞朝刊

 ・「ハマキュウレックス事件」:「弁護士オフィシャルWEBサイト 竹村 淳」より

 ・「協和出版販売事件」: MEMORANDUM:協和出版販売事件より

 ・「長澤運輸事件」: 弁護士 木 野 綾 子のレポートより

 ・「トヨタ自動車事件他」: BUSINESS LAWYERSサイトより(伊東 亜矢子弁護士)

 

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*1:契約法10条就業規則の変更による労働条件の不利益変更の規定は、変更後の労働条件が就業規則の内容となるためには合理性を求めているのに対して、契約法20条では、労働条件の相違不合理なものであってはならないことを求めているという違いがあります。

*2:但し、北バス事件判例の説示からすると、新たな就業規則の作成または変更によって、既得の権利を奪い労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないという就業規則の作成変更による合理性の判断と、契約法20条の有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件の相違が、同条所定の考慮事情を考慮しての不合理性判断とでは、労使協議の評価におのずと違いが生じることになるという判断基準があるのかもしれません。※本脚注は、同最高裁判決が出てから加筆したものであることを申し添えます。

*3:労働協約中の「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」に違反する労働契約の部分は無効となり、無効となった部分は労働協約上の基準の定めるところによる。労働契約に定めがない部分についても同様である。このように労働協約中の「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」はここの労働契約を直接規律する効力を与えらており「規範的効力」と呼ばれる。菅野和夫(著)「労働法」弟八版 法律学口座双書 より